2008年大卒求人に関する調査 全体 来春2008年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とする、全国の民間企業の求人総数は93.3万人と昨年よりも10.8万人増加(+13.0%)し、調査開始以来最高水準となった。その背景として、景気の緩やかな回復が継続する環境下での求人需要の活発化や、徐々にはじまっている団塊世代の定年退職問題がある。一方、大学進学率の上昇とともに増加し続けていた、学生の民間企業就職希望者数は頭打ちとなり、43.7万人(-0.1%、400人減)となった。結果、需給バランスである求人倍率は、2.14倍となった。また、今回の調査結果から浮き上がってくるのは、採用における企業規模間格差の拡大である。規模別でみると、従業員1000人以上規模の企業は求人倍率が0.77倍であるのに対し、1000人未満の企業は4.22倍と、企業規模間の倍率の差は昨年よりさらに拡大している。特に今年は、従業員1000人未満の企業において求人意欲が高まっているが(+14.3%)、それに対して学生の希望は大手企業志向がみられることから、中小・零細企業において、特に厳しい採用環境となることが予想される。業種別ではすべての業種で求人倍率が上昇し、それぞれ「流通業」7.31倍、「製造業」2.64倍、「サービス・情報業」0.72倍、「金融業」0.39倍となった。この結果、業種間での求人倍率の差が開いた。また、全業種において求人総数が増加しているが、今年は「サービス・情報業」での伸びが最も高くなっている。最も求人倍率の高い「流通業」では、さらに大幅な倍率の増加がみられ、今年も引き続き厳しい採用環境となることが推測される()。 従業員規模別求人数 従業員規模別の求人総数と民間企業就職希望者数をみる()。「従業員1000人未満企業」の求人総数は73.0万人と、昨年の63.8万人より9.2万人増加(+14.3%)。一方、民間企業就職希望者数は17.3万人と、昨年より1.3万人の減少(-7.1%)。したがって、求人倍率は昨年の3.42倍から4.22 倍へと大幅に上昇している。「従業員1000人以上企業」の求人総数は20.3万人と、昨年より1.6万人の増加(+8.6%)。一方、民間企業就職希望者数は26.3万人となり、昨年より1.3万人の増加(+5.1%)。求人倍率は0.77倍と昨年より0.02ポイント上昇している。「従業員1000人以上企業」「従業員1000人未満企業」ともに求人総数は上昇しているが、今年は1000人未満の企業において、求人総数が対前年2ケタの伸びとなった。一方で、学生の大手志向は強まり、1000人未満企業への就職希望者数が減少している。そのため、規模別の求人倍率の差が拡大し、1000人未満企業では昨年以上に厳しい採用環境となることが予想される。 業種別求人数 業種別の求人総数と民間企業就職希望者数をみる()。全業種において採用意欲が高まり、昨年は「金融業」の伸び率が最も高かったが、今年は「サービス・情報業」で最も求人総数が増加した(+17.6%)。一方、学生側の民間企業就職希望者数は、「製造業」(+0.4%)と「金融業」(+3.2%)で増加したのに対して、「流通業」(-2.9%)と「サービス・情報業」(-0.6%)で減少した。その結果、求人倍率は「流通業」で最も高く7.31倍、次いで「製造業」の2.64倍となった。これに対して「サービス・情報業」では0.72倍、「金融業」では0.39倍となった。したがって、「流通業」では今年も引き続き厳しい採用環境が続くと推測される。「製造業」については、大手メーカーなどが採用に力を入れていることもあり、求人総数・民間企業就職希望者数ともに増加しているが、求人総数の増加率に対して学生側の就職希望者数が微増であるため、比較的高い求人倍率となった。「サービス・情報業」は4業種の中で最も採用意欲が高まっているが、民間企業就職希望者数は減少しているため、求人倍率は昨年より増加し、0.72倍となった。「金融業」は昨年求人総数・民間企業就職希望者数ともに大幅に増加したが、今年は高留まりの状態にあると考えられる。以上から、企業の採用意欲は全業種において高まっているが、民間企業就職希望者数が業種によって偏りがあるため、業種間での求人倍率の差が大きくなった。 (株式会社リクルート ワークス研究所 第24回ワークス大卒求人倍率調査より抜粋)